「速水御舟の全貌 ―日本画の破壊と創造―」へ

打ち合わせの合間に
山種美術館の「速水御舟の全貌 ―日本画の破壊と創造―」へ。

「御舟美術館」とも呼ばれている山種美術館。
開館50周年を記念して
同美術館の顔ともいえる御舟の大回顧展を開催しています。
御舟の名品が一堂に会するのは23年ぶりだそうです。

以前は日本画というと、色が乏しくて平面的というイメージを持っていて
正直、あまり好きではなかったのですが
若冲とか琳派とか、驚くほど色鮮やかで繊細な日本画も
たくさんあるのですね。

御舟もその一人。
特に、本人が言葉で残しているように
色へのこだわりが強いところなどは、まさに好みドンピシャです。

たとえば「洛北修学院村(大正7年  滋賀県立近代美術館)」。

速水御舟「洛北修学院村」





















御舟はこの時期を「群青中毒にかかった」という言葉で表現していますが
まさに群青と緑青が幻想的で、童話的でもある美しい作品でした。
上の画像をクリックすると大きくなります。

御舟というと、重要文化財にもなっている「炎舞」が有名ですが
私はそれよりも渡欧後や晩年の作品の
モダンな色使いや色の組み合わせが大好きです。

この「花ノ傍(昭和7年 歌舞伎座)」などは
椅子の枠組みのグレーのライン、椅子のクッションのピンクのライン
床のグレー+黄と白の格子
着物の黒と水色のライン、帯のピンクと紫のライン
テーブルクロスの緑のライン、髪の黒のラインなど
さまざまなラインが縦横に組み合わさっているのに
全体に柔らかでたおやかな、それでいてあでやかな雰囲気なのが
すばらしい…ため息。

速水御舟「花ノ傍」

































多くあった花々の作品では
現実にあるような、ないような、微妙な色彩も。
それがまたとても繊細で美しい。
これは「豆花(昭和6年 山種美術館)」。


















晩年に描いた墨と色を組み合わせた作品も
地味になるどころか、とてもドラマチックです。
左は「牡丹花(墨牡丹)(昭和9年 山種美術館)」
右は「白芙蓉(部分)(昭和9年 山種美術館)」。
















この美術展で、かなり御舟ファンになりました。
私的には間違いなく今年のトップ3に入る美術展。
激しくおすすめします。