絵画のような写真。「ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展」

実は写真展が苦手です。
雑誌やweb、プリントで見る写真は好きなのだけど。

美術展は好きで、話題となった写真の美術展も行ったりするけど
いつも「やはり自分は写真展には向かないなあ」と確認してしまいます。

そんな私が
二ューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展」は
入ったとたん夢中になってしまいました。

あまりに気に入って
2700円の公式図録まで買ってしまったほど(笑

二ューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展
左上「タクシー」と右下「カルメン」はポストカード、右上は
「snow」という写真を使ったチケット。左下が公式図録。写
真では分からないけど2.5センチの厚さがあります。
























そもそも「ソール・ライター展」に行ってみようと思ったのは
公式ホームページを見て
額装に合いそうな写真があるんじゃないかなと思ったから。
我ながらかなりで偏った動機です(笑

展覧会に入ってすぐに思ったのは
この人の写真は絵のようだ、ということ。

公式ホームページの内容はほとんど読んでなく、
会場でソール・ライター氏がもともと画家を目指していたと知りました。

そして、とてもうれしかったのは
ソール・ライター氏が「色」がとても好きだと語っていたこと。
写真と言えばモノクロが常識で、カラー写真は下に見られていた時代に
それでもカラー写真が好きだと語っているのです。

私に彼の写真が響くのは
同じ「色」好きということもあるのかもしれません。

すごいと思うのは、今のようなパソコンの加工なんてない時代に
こんな「色」を街の中で発見し
こんなドラマチックに切り取って見せることができたその才能。

たとえば、公式図録の表紙にも使われている「足跡」。

ソール・ライター「足跡」





















(左)「郵便配達」(右)無題。
この2つは展覧会でもこの並びで展示されていました。
画像をクリックして、ぜひ大きいサイズで見てみてください。

















そして、「色」好きの私もグッときた黒の使い方「天蓋」。
カラーフィルムで撮ったモノクロが素敵です。


















誰を写したか、どこの何を写したのか、いつ撮ったものか。
写真というと、たいていそこに意味があったりするけど
ソール・ライター氏の写真にはそれがない。
カメラマンが作り込んだ独特の世界があるわけでもありません。

だからこそ、見た目以上のストーリーやシーンが広がって
ずーっと観ていられる。
それは写真というより絵画っぽい。

私が写真展が苦手で絵画展が好きなのは
そのあたりなのかもしれません。

氏が描いた水彩画もいくつか展示されていたけど、それもよかった。
抽象画はあまり得意ではないのだけど
彼の絵なら家に飾りたいと思ったなあ。
もちろん買えないけど。

ソール・ライター展は6月25日まで。
超おすすめです。