フェルメール・シンジケートの日本人メンバーによる本「フェルメール最後の真実」

あるイベントに申し込んだところ、新刊文庫本が送られて来ました。
「フェルメール最後の真実」(文春文庫)。

現在、上野の森美術館で開催されている「フェルメール展」に乗っかった
絵の解説本だろうくらいに考えていたら
いやいや、その「フェルメール展」のプロデューサーによる
フェルメール展の裏側を語ったドキュメントでした。
「フェルメール展」に乗っかったなんて思ってすみません!

で、これがすっごくおもしろい!

世界には十数人の「フェルメール・マン」と呼ばれる人たちによる
「フェルメール・シンジケート」なるものがあって
各国で開催されるフェルメール展は
フェルメール・シンジケートによって動かされているとのこと。
著者はフェルメール・シンジケートの日本人唯一のメンバーです。

こうしたシンジケートは
印象派やゴッホ、レンブラントなどにもそれぞれあるのだとか。
著者は
「日本で開催されたモネ展やルノワール展、ルネ・マルグリット展などでも
小規模なシンジケートが背景にあったはず」
と言います。

また、展覧会の成功はどんなメインビジュアルを使えるか、
つまり、メインの作品に何を持ってこれるか
にかかっているのだそうです。
大掛かりな美術展であっても
たった1つの作品で成功が決まってしまうのですね。

さらに、各美術館との実際のやり取りの内容や
これまで日本で開催されたフェルメール展の裏話なども豊富。

これまで、美術展はどうやって開かれてるんだろうとか
学芸員は美術展にどう絡んでいるんだろうなど
気になっていたけどよくわからなかった舞台裏のことが
とてもリアルに、実名入りで記されています。

ただ1つ残念なのは、この本のタイトル。
「フェルメール最後の真実」じゃあ
私のように「絵の解説本」と思い込んでも無理ないと思われ
この本の内容やおもしろさを、全然伝えていないと思うのだけどなあ。。。
すごくもったいないと思います。

フェルメール展にはもう行ったのだけど
この本を読んだら、改めて観てみたくなりました。
平日なら時間を選べば当日券もありそうだし
もう一度行ってこようかな。

下はフェルメール展でもらったパンフレット(左)と
「フェルメール最後の真実」の本。
どちらもやはりフェルメール・ブルーです。

「フェルメール最後の真実」とフェルメール展