出版界の寂しい話とアイデアを形にした楽しいイベント
左/昨年亡くなった料理写真家・佐伯義勝さんの作品を
集めた貴重な写真集。 右/六本木・東京ミッドタウン
のガーデン内にある21_21 DESIGN SIGHTで行われて
いる「デザイン あ展」の展示の1つ。人間の動きに合
わせて「あ」が変形するのが楽しい。
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および写真集の制作に
携わったと聞き
昨年亡くなった
料理写真家・
佐伯義勝さんの
写真展へ。
佐伯さんは、土門拳さん、
木村伊兵衛さんに師事し
料理屋「辻留」の
ご主人・辻嘉一さんとの
出会いをきっかけに
料理写真家として独立。
日本に料理写真のジャンルを確立させた方として有名です。
といっても、残念ながら私は佐伯さんとお仕事をさせていただいたことはなく
本のクレジットなどで拝見したことがあるだけなのですが。
料理写真のパイオニアであり、一時代を築いた方なのに
彼が亡くなって写真集を出そうとしたとき
協力してくれる出版社は1つもなかったそう。
彼が長年、料理写真を撮りつづけた雑誌を出していた出版社でさえも。
だからこの写真集は、身内の方と有志が集まって作った、いわば自費出版です。
出版の1つの分野を育てた人の本さえ出せない、出さないとは…。
出版不況のために出したくても出せないのか、
編集者も出版社もそんなことは気にしないのが普通になったのか…。
どちらにしたって、とても寂しいことだなあ。
写真展は、そんなこととは感じさせないくらいに、にぎやかで明るい雰囲気。
あたたかくて素敵な写真展でした。
その後は、天気がよかったのでミッドタウンのガーデンへ。
ガーデンにある21_21 DESIGN SIGHTで
やたら評判がいい「デザイン あ展」をやっているのを思い出し
ついでに寄ってみました。
おもしろい! 予想以上におもしろくて、しばし夢中になってしまいました。
デザインというよりも
アイデアを形にして見せる力がズラリと並んでいる感じ。
ものを作る楽しさ、表現するおもしろさを、力強く思い出させてくれます。